こんにちは、モデル担当のオンダです。
主に武器とメカ系のキャラモデルを作っています。
そんな私が今回お伝えしたいテーマは
『メカモデルの作り方 〜資料集め編〜』です!
バイキングで一緒に働きたいと思ってくださる学生さんには
ぜひ知っておいて欲しい内容です!
もしかすると学生さんの中には
「資料集めってネットから画像集めるだけでしょ」
と考えている方がいらっしゃるかもしれませんが、本当にそうでしょうか?
実は正しい資料集めを行うと、
便利なツールを導入するよりも作業速度とクオリティがアップするんです!
皆さんは2Dのメカを3Dに起こす際、
・細かい部分の設定画が足りない
・複雑な立体がまるで騙し絵のようになっていて形状破綻している
そんな経験をした事はないでしょうか?
そんな時、とにかく手を動かし続けたり頭を悩ませ考え続けたりするのは
大変危険な行為です。
何故なら、
どれだけツールで効率化しても『作りたいモノの形』が曖昧なままだと、
一生『正解の形』には辿り着けないからです。
『正解の形』を知らないまま2時間3時間とモデルをこね続けた結果待っているのは
『不正解のおもちゃみたいなモデル』と『時間を浪費した現実』
そして『修正作業』です。恐ろしいですね。
そうならないために、
不足している資料を作ることで『正解の形』をはっきりと定めましょう。
3Dモデルをこね続けるより、一度2Dで資料に描き起こす方が正確かつ速いです。2Dが苦手な私でも同様でしたので、一度冷静になって回り道をしてみましょう。
長くなりましたがここではまず
『資料集め』改め『資料作成』の重要性が少しでも
伝わっていれば幸いです。
さて、ここからが本題です。
正しい資料作成の仕方を学びつつモデリングの時間短縮をして
制作したモデルがただのおもちゃにならない為の注意点などを書いていきます。
@「実際に手に取って見回せばすぐに理解できる」そこに慢心は無い?
-プロだって手に入る物はなんでも使う-
例えばスマホの形状ってシンプルで楽そうですよね。
こんな単純な形状なら、
「プロぐらいになったら画像見ただけで作れちゃうでしょ。」
とお考えかもしれませんが、たしかにそれは可能です。
ですがあった方が正確で速いです。
正確な資料は多い方が絶対に良いです、プロだって三面図を使用します。
変なプライドは持たないように。

それに対して戦闘機の様な複雑なモデルを作る場合
あなたは5000円の模型を買いに行く選択ができるでしょうか?
それともネットの画像だけで済ませるでしょうか?
模型は手元にあればいつでも欲しい部分を即座に確認することができます。
パースが強くついた写真を避け、あらゆる角度の写真を集める様な
『時間と労力』を『5000円の模型』と比べてみて下さい。
5000円で3日巻けたら3日分の余裕が生まれますね。
自分自身のためにも資料の出費は恐れないでください。
A資料や設定画から正しく形状を読み取れているか?
-現実の工業製品を観察しておこう-模型を参考にモデルを作るときにも一つ落とし穴があります。
それは、プラモの形状をそのまま作るとおもちゃになってしまうことです。
模型は小さいため、細く薄いパーツを再現できません。
これは現実の兵器の特徴を知っていなければ気づくことはできません。
ですので現実の工業製品を観察してなるべく多くの知見を求めて、
調べ物と観察が癖になるくらいまで何度も行いましょう。
また、CGでおもちゃっぽくなる要因として『積み木状態』があります
CGモデルは見えない部分まで作ることを基本的にしません。
何故ならメモリ容量の無駄になるからです。
ですが見えないからと言って内部構造を考えず作ったりすると、
箱の上に箱が乗っている『積み木状態』になってしまいます。
これの何がいけない事かというと、
パーツの接続部分を糊付けしているようにしか見えない事です。
現実の兵器で糊付けしていては強度が心配になります。
ですのでどのようにパーツが接続されているのか内部構造まで考えて、
どこでロックしているかなどを考察するとグッと説得力が出てきます。
B資料を作ろう次は資料を集めている時にありがちな問題とその解決策を3つほど紹介します。
Q.「画質が小さく荒い」
A. 他の資料から補完して、上から細いペンで描き直しましょう。
ここで労力を惜しむと、後々の作業が延びます。
Q.「複雑な立体で上手く形状をつかめない」
A. 一度小さなパーツを削除して、大きな面のみ数色で塗分けてみましょう。
まずはおおまかな立体を掴むことが最優先です。
また、別の角度から見たらどうなっているか描いてみるのも効果的です。
あやふやな脳内イメージよりも、描いてみた方が確実です。
Q.「設定画の線が歪んだり、傾いている」
A. プロのデザイナーが書いた設定画は基本的に信頼できます。
まずは自分の目を疑いましょう。
線が傾いているのは実際に平行でなくテーパーがかっている場合もあります。
その線が本当にただの歪みなのか、
もしくは意図的に何か形状の特徴を伝えるために歪ませているのか、
一度考えて調べてみましょう
C迷走状態になっていないか?
-時間の感覚を身に着けておこう-そもそも分からないまま2時間3時間とモデルをこね続けてしまうのは何故か?
それは、自分が「詰まっている」という認識が無いからです。
30分〜1時間ごとに時計を見る癖をつけましょう。
そして1時間以上悩んでいる時は「詰まっている」という認識を持ちましょう。
「詰まっている」と気づきさえすれば、
自分で解決策を試すなり分かる人に相談するなり出来る訳です。
一人で考え続けても解決しない問題は沢山あります。
しかしいざ相談してみたらあっさり解決する事もあります。悩まないで!
学生の間は納期や時間などを意識するような場面が少なく、
己で律して時間感覚を鍛える必要があります。
このトレーニングを続けることで得られるもう一つの利点として、
自分が1時間でどのくらいの作業ができるのかが分かるようになります。
そして、納期までの正確なスケジュールを出せるようになり
夏休みのラスト3日間みたいにならなくて済みます。
ぜひ学生のうちから時間の感覚を身に着けてみて下さい。
D終わりにちょっと怖い言い回しをする部分があったと思います。ごめんなさい。
未来の失敗をなくすために、
今の内から少しでも貴方の力になれればと思っております。
E余談
-模型の楽しみ方-プラモデルって、リアルな塗装を施したり、美少女プラモを愛でたり、
楽しむ形が一様ではなく面白いですよね。
リアルな塗装の勉強をしていればテクスチャ作成にも活かせたのに、と思ったり。
私はミキシングを楽しむ派で、
誰も思いつかないようなシルエットやギミックを考えるのが好きです。
気軽にできるキャラクターのアイデア出しみたいな感覚ですね。
河森さんのレゴマクロスに影響されてます。
「皆同じ形じゃ面白くない 」

以上で、『メカモデルの作り方〜資料集め編〜』終了です。
ここまで読んでいただきありがとうございました。